プレッシャーが限界に達して
突然の家出
大学2年生の21歳の男性が家出したのは、留年が決定したことを両親に話した翌日の午後だった。
彼は1年浪人して大学に合格しており、同年代の大学生より遅れていることに日頃からコンプレックスを抱えていたという。近所の本屋に行くと言って着の身着のままの姿で家を出ており、所持金は多くても3~5万円程度と推定された。両親は、知り得る限りの友人や知人に連絡を取ったが、誰も心当たりはなかった。その後、地元の警察署に捜索願い(行方不明者届)を提出した。
2日後、警察署から「最寄り駅の防犯カメラが本人の姿をとらえていた」との連絡を受けた。そして「本人は1人で行動し、自ら切符を購入しています。事件事故に遭われた訳では無いと考えられるので、少し様子を見ましょう」と言われた。
しかし、1週間が経っても帰宅せず、所持金が底をついた可能性を懸念した両親は、弊社に相談に来られた。この時、家出からすでに10日が経過していた。
足取りと発見
近郊のターミナル駅やバス、公共交通機関に取材を行った結果、本人は家出の2日後に徳島行きの高速バスを利用していたことが判明した。この情報をもとに、四国内の宿泊施設を中心に捜索と張り込みを行い、ついに四国八十八ヶ所霊場第15番札所である国分寺にて、白装束に身を包んだお遍路姿の本人を発見した。
調査員はしばらく行動を見守り本人の精神状態を確認した後、こちらの身分を告げて声をかけた。本人は空腹を訴えたため、近くのうどん店で食事をしながら状況を聞いた。話を進めるうちに「心の中に積み重なっていたプレッシャーが限界にきていた」「このままお遍路を続けたい」という意思を持っていることが分かった。
巡礼は続く
両親に発見の連絡し、本人の意思を伝えると、「とにかく一刻も早く元気な姿を見たい」とのことで、両親はすぐに徳島に向かうこととなった。両親が到着するまでの間に本人が再び身を隠す可能性も考慮して調査員が同行し、翌日無事に両親への引き渡しが完了。
本人はその後一旦帰宅し、大学に通いながら休日を利用して再び四国に足を運び、1年をかけて八十八ヶ所巡りを終えたという。
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